不輝城には、宝石を産むウズラがいる。石のような卵の殻を剥くと、そのままあの愛らしい雫形の宝石が現れる。
どのウズラがそうなのか、誰も分からないのだそうだが、全てのひなが巣立ったころに、取り残された石の卵を探すのは、不輝城にいる子供たちの楽しみであった。
ある時、欲深い女が子供に交じって卵採りに出かけていき、三つの大きく美しい卵を持ち帰った。
その名をシス、マシス、イルミアキス。言わずと知れた、ゴヘルンの呪いの宝冠を飾る三粒のダイヤである。
不輝城の媼は言う。孵らなかった悲しい卵は、子供の手を経て癒されなければ、善き力をもてないのだと。