不輝城夜話 猫の目の泉のこと

不輝城にいくつかある泉のうちに、猫の目の泉と呼ばれる小さな湧水があり、満月の晩に水面に映った月をトゥンカー(手首にかける輪のついた、大き目の柄杓のような水桶)ですくうと、それがトゥンカーいっぱいの黄金に変わるという。

しかしその黄金は、まばたきのたびに好き勝手に色と形を変えるので、持ち帰っても誰にも金だと信じてもらえない。