敬称略・順不同
短編:約四万字未満、中編:約四万字~八万字未満、長編:約八万字以上
投稿サイト略記:iらんど→魔法のiらんど、アルファ→アルファポリス、エブリ→エブリスタ、ステブン→ステキブンゲイ、DAYS→NOVEL DAYS、なろう→小説家になろう、ノベプラ→ノベルアップ
長編
文明崩壊風
完結
125,810字
不知火昴斗
地図を描き変えるほどの災厄の後、人々に遺されたのは、可能性だけを抱えて輝く星の形の新鉱石――天星石だった。機械技師のジウは、伝承蒐集家のニューランに付いて訪れた村で、ある物の制作を頼まれる。その土地の古唄を遺すために。
星の光は、真空を越えて伝わる「何か」の道標。
尋常の社会から隔絶された“まほらの森”として暮らす青白き森の人々を、火の雨が襲った。唯一逃れた少女シルトゥは魔術師に拾われ、火の〈眼〉から隠れながら霧の羚羊に乗って南を目指す。
語られるすべてが魔法を持つ、夢の源泉からじかに汲み出したような高濃度のファンタジー。
短編
和風
完結
16,181字
ginsui
小夜叉岳の麓、綾織の名足には、いまだ麒麟がいるという。旅の琵琶弾きである羽白は、曲を作るため麒麟の噂を追っていた。正体のない幻の獣がふしぎな縁をひき出そうとは、彼は夢にも思わなかった。
霊が薄れゆく世界で失われ続ける完全をもとめて流離うひとは、その手に何を掴むのか。
無病不老の森の民に交じって暮らす“異端”の少年、サジ。成人の年を迎えた彼は、〈聖なる山〉の狩人の験しにいどむ。生きていくために彼が“手にとる”ものは何なのか?
粘土版に刻むような筆圧で描かれた狩りの場面と、サジに投げかけられる言葉の迷路に注目。
エラス。楽土を失い、安住の地を求めて棺の蓋をこじ開けるように森を切り拓き、移住をくり返す人々。その若き女王は、ある決意をもって戴冠式を欠席した師を訪ねる。
美しさと醜さ、理想と現実などの対比・相似・象徴で語られる午後、誰が生き残るのかは解釈次第。
人界の炎の源である神殿の火が消えてしまった!
お人よしの渋いおじさまゲオルグは巫女の頼みで原初の火を求めて旅立つ。出会ったのは、自分のことを鳥と言い張る紡錘形の珍妙な生き物だった。
広い世界を二本の脚とフリッパーがゆくおとぎ話は、ユーモアと幸福感ではちきれんばかり。
短編
和風
完結
6,647字
糸川まる
何に使うか判らない、大きな歯ブラシ。毎月ひとつ、しきたりどおり店に納められるその品を、毎月ひとつ、蓑笠姿のふしぎな客が買っていく。常には決まったことしか言わない客が、長雨が続いたある時、大きな災いを予言した。
「昔むかし」で始まって、今まで届く古語り。
家族とともに稲を育て、果実を集め、精霊に祈る暮らしを送っていた少女レットは、村でただ独り火山噴火を生き延びて故郷を離れ、自然からも互いからも隔絶された都市の“キューブ”に植え替えられる。
転変し流れ去る定めのものが永続を求めて時の向こうと手をつなぐ、これはその、音楽。
敬愛する従兄のユウアムのため、プディヤは晴れ着に刺繍する。祖たる霊たちの力を借り、青年の通過儀礼の装束を飾るのは〈糸の姉妹〉の務めである。しかし。彼女の罪を、彼女だけが知っていた。
来るべき別れをめぐり、根の国の蝶とともに想念の世界をさまよう少女の決意とは。
未来へ、未来へ。秒針に追い立てられて足を早める近世ヨーロッパのどこか。ホーテンダリアの午後七時、『宵迎えの鐘』が鳴れば、そっと常ならぬ風が吹く。怪異の街の奇怪な事件に古物商の少女と苦労人の夜警員コンビが挑む短編連作。
怪奇が香る、懐かしい手触りの本をどうぞ。
アステカは、血によって夜を明けさせる国。日没ごとに太陽神へ生贄を捧げつづけて迎えた1519年――白い顔の神が戻るという予言の年、スペインからの「探検隊」が押し寄せた。斜陽の国でヒマワリのように顔を上げて新しい夜明けを望み、後に裏切者の代名詞として名を貶められた少女を描く歴史創作。
短編
洋風
完結
13,368字
けっき
ユニコーンは猛獣である。その角のために設けられたユニコーン牧場は、疑似餌として常に少女を求めていた。母に売り払われた「私」は、生き延びるために知恵を絞った。愛する母のもとへ帰るために。
毒を持つ猛獣の棲む屈折した恐怖の森から、逃れるための物語。
伝統ある騎馬祭の日に岩砂漠の砦の街を過るのは、落ちて死にゆく渡り鳥、果てなくさすらう導の星、待つ人の元へ帰る人、塔に縛られる祈り人……すれ違うさまざまな生が、しがらみに埋もれる少年たちに問いかける。「いかに生き、どこへ行くか」と。
旅に、死に、いきかえる生命と祈りの物語。